ほんき
昨日のプール帰りに立ち寄ったラーメン屋で、
(プール帰りって腹減るよね)
テレビから「コンピューターおばあちゃん」が流れてた。
奎はえらく気に入ったようで、
今日はずっと歌ってた。
♪コンピュ〜タ〜おば〜ちゃ〜ん
のフレーズだけ。延々と。
そのうち変な声で歌い、ふざける。
そして「まねしてごらん」と言う。
低い声や甲高い声で歌うのを、ボクは真似してみせて付き合ってた。
そうしてたら、奎が言った。
「ほんきでうたってみせて!」
ボクは気持ちの上で立ちつくした。
”ほんき”というのは、ボクのヴォーカリスト人生をかけて、ということだよな。
さて、どう歌おうか。
どんなタッチで歌おうか。
そもそも、どういう歌なのか。
どんな想いをのせようか。
フレーズはひとつだけ。
”コンピュ〜タ〜おば〜ちゃ〜ん”
これはおそらく危険なチャレンジになるだろう。
何の気ない申し出に、ボクは大人げなく取り組んだ。
”ほんき”になってみよう。
思考がひと回りして、身体の力が抜けた。
♪コンピュ〜タ〜おば〜ちゃ〜ん!!!
(爆声)
我が子を前にして、ボクは真っ赤になってしまった。
まだまだ修行が足りません。
おやすみなさい。